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第99回日本ハンセン病学会総会・学術大会ご挨拶Message

会長挨拶

第99回日本ハンセン病学会総会・学術集会を、2026年6月3日から6月5日まで、静岡県御殿場市の駿河療養所で開催いたします。
第1回の総会は1927年に東京で開催され、第75回総会を2002年に駿河療養所主催で三島市において開催して以来の総会となります。

第1回総会は旧「癩予防法」が制定される4年前でした。第75回総会は熊本での違憲国家賠償請求訴訟の判決がでた翌年で、ハンセン病を取りまく環境が大きく変化していくさなかでした。今年ハンセン病学会を駿河療養所で開催するにあたり、ハンセン病を取りまく環境はどうなっているでしょうか。国内でのハンセン病新患数は年間数名程度となり、治療中の患者も少ない希少疾患となっています。 療養所入所者や退所者も、活動性のハンセン病治療をうけている方はほとんどおらず、高齢化しています。これまでハンセン病についての啓発活動は継続されて行われ、療養所入所者に対する目に見える差別もなくなり、入所者は自由に外出する事ができます。 しかし、2024年のハンセン病問題に係る全国的な意識調査では、いまだに2割の人がハンセン病に対する差別的意識、抵抗感を持っていることが示されています。家族との絆が失われたままの療養所入所者や、家族にハンセン病罹患者がいたことを隠して生活をせざるを得ない方々も、いまだにおられます。

 

2020年新型コロナ感染症が日本全国に拡大していてくなかで、感染者、医療関係者への偏見差別がおこり、世の中に自粛という同調圧力が生まれました。かつてハンセン病にまつわり起こった誤りの構図が繰り返されたと感じます。

 

世界の中では、いまだに多くのハンセン病新規患者が発生しており、らい菌の人工培養ができないなど未解明な部分も残されています。ハンセン病に対する治療法は確立していますが、疾患自体にもハンセン病を取りまく社会環境にも多くの課題が残されています。日本ハンセン病学会は大きな学会ではありませんが、基礎医学、臨床医学、社会科学の研究者や臨床家が一堂に会して、ハンセン病に対して多角的な観点から研究発表や討議を行える場です。今回の総会・学術集会でも活発な討論をとおして、ハンセン病をとりまく課題の解決の一助になれれば幸いです。

 

皆様のご来訪をこころよりお待ちしています。

第99回日本ハンセン病学会総会・学術大会
会長 北島 信一

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